と同時に、笹井氏がこの問題を我々が思っている以上に重圧と責任を感じていたのだと気付かされました。
だからこそ、STAP細胞をめぐる一連の騒動は、氏が人生初めて味わった大きな挫折だったのかもしれません。
使い古されたフレーズですが、若い頃から挫折を知らずに育つと、大人になってからの挫折は相当応えるというのは、よく言われることです。氏の経歴に彩られた実績は、これまで氏が失敗知らずの人生であったのではないかと思わせるほど、栄光に満ちたものです。
笹井氏については以前、小保方さんとの相性で少し取り上げさせてもらいました。(こちら)
その時は大変失礼ながら、実績もあるいい大人が、若い女の子に入れあげて、冷静さを失ってんじゃないの?みたいな感じで若干茶化すように面白おかしく書いてしまいました。ノリであったとはいえ、こんな結果となった今となっては、赤面する思いで後悔を感じる次第でございます。
氏のご尊厳を傷つけ、誠に申し訳ございませんでした。
ここであらためて笹井氏のホロスコープを取り上げてみたいと思います。
水瓶座に土星・水星・火星・木星・月と、5つもの天体が集まっています。(ただし月に関しては、この日の19:17過ぎに生まれていたなら次の魚座に入っています。)
仮に月が水瓶座として、天体は全部で10個あるうちの半分が水瓶座ということで、かなりのウェイトを占めています。
水瓶座は風の固定サインで、いかなるローカル・感情にも肩入れをしないというサインですから、水的な世界=つまり徒党を組んだり特定との同調・癒着をしたりという=を嫌い、それを蹴散らします。権力や政治的圧力にも屈しないことから、変人と評されることもある水瓶座ですが、肩入れや癒着や迎合というのは、差別や偏向性を生むという意味で人間の持っているイヤらしい部分であり、実は普遍的な価値観というのは水瓶座のことである、という考え方はあります。
そうした性質ゆえに、固定観念や今までの既成概念にとらわれず多面的な視点から研究をすることが出来るという点で、水瓶座は適していると言えるかもしれません。
その中でも氏の場合は、火星・木星(月)が獅子座の天王星とオポジションになっています。
天王星はもともと水瓶座のルーラーですから、水瓶座とのオポジションは通常以上にエネルギーの濃いものであるはずです。
そしてこのアスペクトは、固定観念のない研究を、新たなオリジナルな形で世に発表するというものになっていて、なにがしか笹井氏が、そうした使命を持ってこの世に生まれてきたかのようであります。
もう一方のオポジションである魚座の太陽と乙女座の冥王星ですが、太陽が冥王星という最大のエネルギーを得ることにより、誰にも侵食されることのない強力なエネルギーを太陽にもたらしています。
冥王星はもともと太陽系で一番遠くにある天体ですから、常識外のものを持ち込んできます。
氏の太陽は、冥王星の他に海王星とのトラインもありますが、いずれも土星より外側の天体であり、土星を常識の範囲内あるいはこれまでの既製のもの、とするならば、それより外側にある天体は、土星の常識を越えたものを地球に持ち込んできます。
すなわち太陽が土星枠外天体(トランスサタニアン)としかアスペクトがないということは、太陽は「普通じゃ物足りない」ということになり、今までの既成概念ではとても満足しきれません。結果、今までにはなかったものを求めて努力をすることになるでしょう。
笹井氏の研究は、そうした動機によるものであったと思います。
それに付随し、魚座と乙女座のオポジションは、奉仕性と実際性の対峙であり、乙女座は医療に関することでもあるゆえ、氏の研究は今後ともに、人間の身体に関して多大な貢献となり貴重な材料となることでしょう。
さて、では笹井氏はなぜ自殺しなければならなかったか、を考えてみます。
私は初めて氏のホロスコープを見た時に気になった点があって、それは水星のアスペクトが海王星とのスクエアしかないということでした。水星は知性を表わす天体であり研究者・学者にとっては重要なものであるため、氏の水星が気になったのは当然のことです。
水星・海王星スクエアに関して言えば、わりと神経症の典型アスペクトです。水星は神経を司りますが、その水星が海王星によって混乱させられるのです。
しかも氏の場合、水星のアスペクトはこれしかないので、シャープに出てしまう恐れがあります。逃げ道がないからです。
騒動以降、笹井氏は心療内科にかかっていたと報道されています。
原因は多分このアスペクトでしょう。
海王星はクスリでもあります。氏はクスリの影響でまともにコミュニケーションできなかったとの報道もあります。
それに付随して、出生図の水星の近くには土星があるという点も見逃せないです。
つまり氏の生まれには土星・海王星スクエアのエネルギーが、全くないとは言い切れません。オーブ広すぎだろ、後付けだろ、という意見は少しお待ちください。
そこでトランジットを見ます。
占星術の知識がある方なら、トランジットの土星が2012年10月以後、ずっと蠍座にいるのをご存知かと思います。
小保方氏をリーダーに抜擢したと言われる2012年12月頃には、トランジットの土星は蠍座7度のあたりにあり、ネイタルの土星とはスクエアで、いわゆる土星・土星スクエアという状態でした。
それから時がたち、現在のトランジットでは土星は16度辺りにいますから、笹井氏のネイタルの水星とはスクエアです。しかし水星にはもともと海王星のスクエアもあります。
つまり水星は、海王星と土星の両方からスクエアで入られているわけです。これにネイタルの土星も絡んで、水星は土星・海王星のエネルギーに巻き込まれて混乱をし、神経のコントロールを失っています。
折しも獅子座には木星も太陽もあり、蠍座には火星も入り固定サインのTスクエアがガッチガチの状態でした。
蠍座も水瓶座も獅子座も固定サインです。
固定サインはもともとが「動かない・固辞する」というサインだけに、ドツボにはまると解決策を見いだせずにその場で悩み苦しむだけです。
付け加えて、笹井氏のホロスコープには、固定サインと柔軟サインしかなく、打破するための活動サインが一つもないというのも忘れてはなりません。
氏の場合は、これまでの栄光が輝かしかっただけに、そのギャップが大きな影を落としたのかもしれません。
ご冥福をお祈りします。
おわり