なので、いま土星・海王星の影響を受けている人は、度数によってはそろそろ影響から逸れはじめているかもしれません。今日現在、土星は射手座の4度付近にいますが、このまま逆行し続けて、6月には蠍座に戻り、9月までは蠍座に居続けます。
「そんなことが起こるわけがない」
それが実際に起ったのです。
これは歴史に残る大事件として今後も語り継がなければならないでしょう。
ちょうど地下鉄サリンの2ヶ月ほど前、阪神淡路大震災が起こり、日本中がパニックになっていました。その頃、トランジットの冥王星が、蠍座と射手座の間をゆっくりとウロウロしていて、乙女座に入ったばかりの火星とはスクエアになっていました。火星・冥王星スクエア、それは過剰な事故の危険を示唆していたとも言えます。
実際、日本国家のホロスコープでは、蠍座の終わりと射手座の初めに火星と金星と水星があります。つまりその3つの天体は、トランジットの火星・冥王星のエネルギーを受けていました。
ただ、それによって「危険である」と警告を発することが出来たとしても、それが地震だということまではほとんどが特定できなかったでしょう。なぜなら過去の地震すべてにおいて、そのような天体的暗示があるわけではないのです。ただこの時は、なにかしら「日本は危なそう」ということだけはホロスコープにハッキリと暗示されていました。
その阪神淡路大震災の後、火星は一気に獅子座中盤まで逆行します。そこには日本国家の冥王星がありました。そしてその冥王星は日本の太陽をスクエアで直撃しているのです。火星・冥王星の合が太陽を直撃している配置、これが地下鉄サリン事件時のトランジットでした。
しかも獅子座の火星・冥王星です。「身勝手な暴力」という言葉がピッタリのコンボです。
つまり阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件に関しては、ホロスコープ上では何かしら危険なサインというのはあったのです。
では麻原彰晃自身のホロスコープにはどのような影響を及ぼしたでしょう。
まず出生図ですが、活動サインのグランドクロスがあります。
アセンダントは山羊座で、この生時によればだいたい11度位ということで、山羊座のこの辺りの度数はマニアックです。まあカルト教団というのがそもそもそういう感じということもありますし、山羊座の主星である土星が10ハウスの終わりに位置することから、バリバリの会社勤務とかではなくて、そこから外れた場所でのコミュニティという感じにはなります。
その土星は7ハウスの木星・天王星とトラインというイージーアスペクトで、しかもこれは蟹座ですから、土星のコミュニティは集団にアピール力があって、しかも人が集まりますし、そうして集まった集団に対してオリジナリティなものを供給します。
MCには海王星があるので、この人は海王星っぽい事で身を立てていくことになるんですが、それがカルト教団という怪しい集団を形成したということは、上述の土星や木星・天王星の性質に加え、この海王星が天秤座である=つまり人が対象になる=ということも無視できません。
しかもこの海王星は3ハウスのカスプから来ているために、コミュニケーションや教育や出版などをベースに持っていることがわかります。まあカルトも言ってみれば人間教育だしコミュニケーション大事だしということにはなりますけども、そもそもオウムの成り立ちがヨガ教室のようなものだったはずなので、カルチャー教室的な位置から発達していったものと解釈ができます。
太陽は魚座なので、アスペクトはないですけどもMCの海王星とリンクします。
つまりこの人はスピリチュアル的なこととか精神世界とかの分野の傾向はかなり強いということになります。しかもこの太陽は魚座の10度なので、求道的という点で精神世界系の人には多い度数ですし、そのエネルギーもパワフルです。彼はおそらくそうした分野の知識はかなりのものだったのではという感じがしますし、2ハウスなので元々そうしたセンスも持ち合わせてたのでしょう。
なので、この太陽や海王星を正しい方向で生かしたら、精神世界などでそれなりのキャリアを築いた可能性はあったかもしれません。
しかも前の記事で書いたように、この人は8ハウスに冥王星があって、これがその世界へのかなり強いエネルギーをもたらしています。
(参照記事:オウム真理教は今も生きている?)
これがいかにして地下鉄サリン事件というテロ事件を引き起こすまでに至ったか。
これにはまず、オウム真理教が次第に凶暴化していったプロセス、ひいては麻原自身の変貌がキーになります。
オウムが社会に対して牙をむきだした198年代終わり~1990年代初めは、ちょうど麻原彰晃の出生の土星に対して冥王星が重なっていました。もともとこの土星は冥王星とスクエアなので、冥王星・冥王星スクエアに土星が巻き込まれるという形になってしまったのです。
麻原の土星は既に述べたようにアセンダントの主星ですから、かなり彼の人生上における重要ポイントとも言える天体です。これに冥王星・冥王星スクエアが重なるということは、つまり麻原個人のキャラの強制転換ということになりますし、またこの土星はコミュニティを統率する立場を表わすものですから、それさえ強制的に書き換えられるということになるのです。
さらに海王星に対してトランジットの土星がスクエアとなり、この土星・海王星のエネルギーが、そのまま活動サインのグランドクロス全体に影響を波及させることになります。
この二つのトランジットの影響が、一気に麻原のホロスコープに降りかかることによって、その方向性が一気に狂気へと変貌していったのでしょう。
そして最後のポイントは1994年、つまり地下鉄サリン事件の前年のトランジットが決定的な意味を持ちます。この年に土星は魚座にあり、麻原の太陽に重なります。つまり麻原は土星=つまりルールや社会的な圧迫をモロに受けることになります。この土星は月にもスクエアでしたから、精神的なストレスは多大なものだったでしょう。
その一方で、時代的な配置である山羊座の天王星・海王星の合が、彼の活動サインのグランドクロスに絡みます。これは結果的に海王星・海王星スクエアとなるし、天王星・天王星オポジションにもなってしまいます。
これは活動サインだけに、前述の土星の圧迫に対して「黙っていられない」ということになり、一気にブチ切れし、反発するのです。
おそらくこのトランジット2つの影響が決定打になったでしょう。
しかも冥王星・冥王星スクエアも続いています。
完全に「ホロスコープが破綻」した状態と言えます。
おわり