親の何気ない一言が、とてつもなく子供を傷つけてしまうことがある。それがきっかけで、取り返しの付かない不幸な結末を引き起こす――そんな物語がある。
普段からポンポン送られてくるamazonからの広告メールに、たまたまこの本「約束」の紹介があった。
蛇足だけどamazonの広告メール、実は嫌いじゃない。なぜかと言うと、たまに「おお、これ欲しい」っていうのとか、「なんでこれ薦めてくるんだ?」っていうトンチンカンなヤツとか、ツボだったりボケてるんだかよくわからなかったりする商品を眺めるのが、ちょっとした楽しみだったりするからだ。
ともあれ、妙に気になったのでこの本の商品ページに飛んだら、むんずと掴まれ抵抗できなくて、秒殺でポチった。
いつもの通りすぐに送られてきたので、パラパラとめくったら、文字少なくてすぐ読めそうだった笑。・・・実際、一時間もかからずに一気に読み終えた。
途中から涙が止まらなかった。
もちろんポチった時点である程度予想はしてたけど、あまりにあからさまだったりすると「この映画サイコー!」「感動で泣けました!」っていう、よくある安っぽい映画のテレビCMにありがちな、変にハードル上げてしまって実際は大したことなかったっていう、例のパターンかもしれないという危惧は、多少あったかもしれない。
エゴは、いつかブーメランしてくる
ただそうであったとしても、それを超えてきた。
本気だった。
盛った感じのチープ感もない。
ムリに美談に誘導してもいない。
ただの本気だけ。
主人公の少女は、親の一言にとてつもなく傷ついてしまう。本人にとってショックだったろう事があり、親の言葉がその傷に塩を塗ってしまったのだ。――親としては、自分の子をそこまで傷つけるつもりはなかったとしても、いっときのエゴや感情によって吐き出された言葉は、後でどう取り繕っても取り返しがつかない事がある。
時間は戻せないというのは当たり前の事だけど、同時にそれは人類がはじまって以来、数えきれないほどの「後悔」を生んできた歴史でもある。
つまり親の放った言葉は結果として、とてつもない後悔となって、親の元にブーメランすることになる。
純粋だからこそ、傷が深い
ある日作者は、街で偶然少女と出会い、少女を救うため、家族と話をするために、少女の家に行く。
母親が出てきて
「この子が、また何かをやったんですか!」
子供と向き合えない親の、典型的な愚かな態度だ。
作者はその態度にキレる
「この子ではなく、あなた方が、何かをしたんです」
ようやく、やってしまった事の重大さに気付いた瞬間でもあった。
・・・しかしすでに遅かった。
――
純金は、純度100%だとジュエリーにはできないという。柔らかすぎてすぐに傷ついてしまうから、商品としては使いものにならないのだ。
たぶん少女は純粋すぎた。純度が高ければ高いほど、もろく崩れやすい。だから崩れた時の反動が大きい。柔らかすぎるから、傷が深くなってしまうんだ。
普段は大丈夫でも、時として思春期の子供には予想以上に大きなダメージを与えてしまうタイミングがある。そのタイミングは、実はホロスコープでわかることがある。特に月や水星が傷つけられている時は、注意して接した方がいいかもしれない。
もしかしたらこの少女は、危ういタイミングの時に親からの言葉を受けてしまったのかもしれない。
良作です。