つまり松井氏のメジャーリーガーとしてのキャリアはヤンキースで終えたことになる。
ましてや当時ヤンキースが直面していた状況は、選手の総年俸の削減とチームの若返りという命題があり、いかにワールドシリーズの功労者であったとしてもオファーは出せなかったというのが現実だった。
さらにヤンキースは、松井氏の他にも生え抜きであり長年の功労者バーニー・ウィリアムスに対しても、最後は冷酷な仕打ちと言われても仕方のないような処遇をし、当時ファンから相当不評を買ってもいる。
他にもボストン・レッドソックスなどもアレックス・ロドリゲス欲しさに生え抜きのノマー・ガルシアパーラをトレードで出してしまおうとした。(当時A-RODは薬物なしのクリーンだと思われていた)
結局レッドソックスは、その後アスレチックスで引退したガルシアパーラとワンデイ・コントラクトを結び、松井氏と同じように引退セレモニーを行った。彼もレッドソックスでキャリアを終えることが出来たし、バーニー・ウィリアムスの件も、彼がつけていた背番号51は誰も付けることが出来ず保全されている状態だ。
松井氏やガルシアパーラのように、かつて活躍したチームに戻って引退セレモニーを行なってもらえることは通常の事ではない。それ相当に貢献した者でないと享受できる栄誉ではないようだ。それが証拠に、ヤンキース史上、ワンデイ・コントラクトによって引退セレモニーを行ったのは現時点で松井秀喜氏のみだということが証明していると思う。
このように松井氏がチームから無碍に扱われない理由として、実績が評価されたということももちろんあるだろうが、それ以上に人間性というか彼がチームに対して献身的であることが挙げられるだろう。
以前のブログで松井氏のホロスコープについて書いたことがあるのだが、松井氏の場合、そもそものキャラクター的に自分を押し出そうというのがあまり見られない。
これはホロスコープが分からなくても、彼ののインタビューやマスコミの報道などから同じような印象を抱いている人は多いのではないか。
松井氏の生まれの月というのは魚座にあって12ハウスで、しかも木星が近くにあってということからして、非常にセンシティブで奉仕精神があり、人の機微に同調できて自分を押し殺す事ができる人だということがいうことがわかる。
反面、太陽は双子座の中でも力強い20度にあって、これは自分の力を極限まで発揮しようとする度数で、それが3ハウスにある。3ハウスも双子座も自分の能力を磨いて人生に打って出る場所でもある。
こうした生まれた時の天体エネルギーが、松井秀喜という人間を形成している。つまりチームに献身的で、そのために能力を尽くすというキャラクターになるのである。
かねてより松井氏は「自分の個人記録よりもチームが勝つこと」を目指して野球選手を全うしてきた。こうした姿勢が、結果的にヤンキースでキャリアを終えて欲しいとチームからリクエストされる存在となったのだろう。
その一方で、セレモニーに参加せずに黙々とベンチ裏でトレーニングに励んでいたという、イチローの存在に注目したい。
ヤンキースタジアムで松井氏がその栄誉を讃えられてチームメートに囲まれているなかで、なぜかイチローの姿はなかった。
やれ二人の間に確執があるんじゃないかとか、仲が悪いんじゃないかとかすぐに勘ぐりたくなるのは世の常だが、私個人的には個性の特徴がよく現れている事柄だと納得させられた。
というのも、イチローの生誕時の月は乙女座で、MC近くにある。
乙女座の月は神経質で自己防御本能が強い。彼が自己管理能力に優れているのはそのおかげだろう。
さらに乙女座は土の柔軟サインで、細かな実際性にハマっていく。そのためにミリ単位のバッティングをコントロールできる。
その月がMCにあるので、イチローはその繊細なバッティングを活かして社会的立場を作るというホロスコープになっている。
一方で月がMCにあると、個人としての名誉や権威を求めることになる。彼が個人記録に固執するのも、この月のエネルギーではないか。
それは逆に言えば、他人に対して厳しいという乙女座独特の「拗ね」を生み出すのかもしれない。自分の栄誉を目指す分、他者の栄誉を素直に容認出来ない。ましてや同じ世代に生まれたスーパースター同士ということであれば、なおさらかもしれない。
別にそれを否定するつもりもない。単に乙女座の月の特徴というだけのことだ。
イチローの太陽は天秤座で11ハウスにある。11ハウスは独立心でもある。例えチームに所属していたとしても、目指すべきは独自の路線である。太陽の横には独立の天体である天王星もある。
イチローは我が道をゆく孤高の人なのだ、と改めて認識させられた。