「今年こそは」と期待に胸を膨らますハルキストの期待をよそに、ノーベル文学賞はボブ・ディラン(Bob Dylan)氏に手渡されることになった。ディラン氏にとってはアカデミー賞・グラミー賞・ピューリッツァー賞などに引き続いての大いなる栄誉の受賞となる。
そのヒッピーとか反体制の世代というのは、獅子座冥王星時代に生まれた、ある意味特徴を持った世代だろう。それ以前の世代=つまり冥王星が蟹座の時代に生まれた者達が、何の疑問も持たず国や民族のイデオロギーを背負って戦争をした事に反発し、平和と自分たちの何にも縛られない自由をアピールした世代ということになる。
このように常にサインというのは直前のサインを否定することによって成り立っていて、この場合も蟹座を否定した獅子座という構図だが、さらに言えば獅子座→蟹座への反発は、そのお互いの性質からして殊更ギャップが出やすい。実際そのギャップがそのまま時代として現れたのが、こうした反体制などのムーヴメントだった。
ちなみに日本では安保闘争や全共闘などの学生運動を起こした世代である。
――そんな世代の代弁者として、ボブ・ディラン氏は名声を得ることになる。
ボブ・ディラン氏のホロスコープ
ボブ・ディラン氏のホロスコープは極めてシンプルだ。
基本的にホロスコープというのはシンプルな方が特徴がストレートに出やすい。それがいいか悪いかは別問題にして。
ちなみにこのホロスコープをざっくり言えば、度を超えた才能を生まれ持ち、それを巧みに表現力につなげるという至って単純かつ直球的な構造。さらにそこには革命的、既存を打ち破るというエッセンスがあり、そこが世代の若者達に受け入れられた要因の一つかと思う。
まずアセンダントとMCがそれぞれ射手座・天秤座ということが、すでにこの人が自由と平等の人、ということになるのでは。したがってそれが「時代の代弁者」という看板をもたらした要因の一つになっているのは確かだろう。
そしてすでに述べた、世代の特徴である獅子座の冥王星は8ハウスに入り、深層から何かを受け取りイメージ化できる素養を与えている。それが5ハウス6ハウスの天体群と協調的なアスペクトになっている。つまりこの時代の象徴である冥王星をベースに表現ができたということだ。
ここで注目なのは獅子座と牡牛座の60度で、通常このコンビは固定サイン同士の90度というハードアスペクトになるわけだが、お互いがサインの最終と最初にあるために珍しくイージーなアスペクトになっている。
すなわち、8ハウスの冥王星で深層から湧き出るイメージを、5ハウスの木星・天王星が受け取って革新的な表現力にし、それを6ハウスの太陽がビジネスにする、という構図。
実にシンプル。
また5ハウスの天体群は、9ハウスの乙女座の海王星からも120度の協調的なアスペクトで結びついている。この海王星にアスペクトが多いのもこのホロスコープの特徴で、この海王星のイメージを表現に変換する事を可能にしている。
この海王星は9ハウスで、何か魂の向上を目指す教訓なようなものをもたらしている=つまりメッセージ性がある。とともに、乙女座ということでイメージが具体的な言葉(歌詞)に落としやすかったはずだ。
つまりこの人は海王星・冥王星という枠外天体からのイメージを作品に投影することができたということが生まれ持った才能であり、=イコールそれがそれまでのアーティストの枠から脱却できる要素になった。
ちなみにこのホロスコープで一つだけ浮いている天体がある――魚座の火星だ。
ディラン氏は火星の年齢域において、自身はユダヤ人の血なのになぜかキリスト教に傾倒し洗礼まで受けている。しかしその後、火星の年令が終わるとともにキリスト教からは脱却したようだ。
この火星の魚座5度は「将校たちの行進」の度数で、組織や伝統などに奉仕するという性質である。つまりそれまでの革新的な生き方から急にキリスト教という組織に組み入ることになりそれが作風に反映されてしまい、結果従来のファンから不評を買うことになった。
ただこれもホロスコープに描かれている人生コースをそのまま歩んだ結果だが。
【※ホロスコープ画像はSolar Fire Ver.9を使用】